フランス人は休みが多い印象がありますが、実際ヨーロッパの他の国々に比べても休みが多かったり、とりやすかったりして、それを誇りに思っている人もたくさんいます。サラン・レ・バンには歴史的遺産も多く、温泉やカジノなどの娯楽施設もあるため、長いバカンスを利用してこの街を訪れる人も少なくありません。そんなこともあって、バカンスの時期のサラン・レ・バンはちょっと賑やかになります。
長い休みのからくり!35時間労働
長い休みが、もはや文化といっても過言ではないほど浸透しているフランス社会には、長い休みをとれるからくりがあります。フランスでは1998年から2002年にかけて段階的に35時間労働制という法律が導入され、週の労働時間が35時間までになりました。職場によって水曜日や金曜日は半日の勤務だったり、週に40時間働いて5時間の超過分をあとで休みとしてとったりと、35時間労働のやり方はさまざまです。もともとフランスでは有給休暇が年に5週間あり、さらに35時間労働制の超過分をバカンスとして取得する人もいるので、毎年夏には数週間続けて休みをとる人も珍しくありません。しかも、有給休暇は「当然の権利」なので消化率も高く、職場でも当たり前のこととして受け入れてもらえます。日常生活でも、フランスには残業をする習慣がないため、定時には仕事を終え学校に子供を迎えに来るお父さんの姿をたくさん見かけます。
学校のバカンスは年に5回
フランスの職場には大きなバカンスが2回あります。1つ目は夏休み、2つ目はクリスマスです。この時期になると、役所の仕事なども担当者が休暇をとっているなどの理由で滞ることがあるので要注意です。必要な手続きなどがある場合には、いつもより時間がかかることを心して早めに行うようにしましょう。学校はさらに休みが多く、トゥサン(諸聖人の日)、クリスマス、冬休み、春休み、夏休みの年に5回の長期休暇があります。夏休みはおよそ2カ月、そのほかの休みは2週間ずつです。フランスはワーキングマザーが多いため、子供が休みのときには、祖父母やベビーシッター、学童保育に子供を預ける家庭も多くみられます。サラン・レ・バンにもCentre de Loisirsという3~11歳の子供を対象とした有料の学童保育があり、料金は親の収入によって段階的に決められています。
連休の5月!一大イベントはマラソン大会
フランスには年に11日間の祝日がありますが、その内の3つが5月です。そのうえ、職場や学校では祝日が火曜日だったり、木曜日だったり、いわゆる飛び石連休のときには、月曜日または金曜日も休みにして週末と繋げ、4連休にすることがよくあります。ですから、年によっては5月に4連休が3回もあることがあり、休みの多い月です。サラン・レ・バンでは毎年5月の中下旬か6月の始め頃にモンテ・インターナショナル・ドゥ・モン・プペ(Montée Internationale du Mont Poupet)という、街の中心からモン・プペという山へ最長17.5kmの山道を走るマラソン大会が開かれます。2017年には、4つのクラスに分かれて延べ800人以上の人が参加し、サラン・レ・バンの一大イベントのひとつとなっています。フランスでは、ワークライフバランスが日本とは異なり少し戸惑うこともありますが、仕事をしすぎる傾向がある日本人にとっては人生のあり方を考え直すいいチャンスになるかもしれませんね。