家の購入は大きなイベントです。家の価格帯や売買の傾向を把握しておくのは大事ですし、ローンの仕組みなど、日本と違う点をあらかじめ踏まえておくと実際の手続きがスムーズになるはずです。ロックリンにおける不動産事情を見てみましょう。
家の価格帯、売買の頻度は?
カリフォルニア州は不動産の価格がきわめて高く、全米でも常に上位3位以内に入っています。不動産総合サイトZillowによれば、ロックリンの家の平均価格は460,000ドル、カリフォルニア州全体では524,000ドル、全米では206,000ドルとのことです(2018年現在)。価格が上昇しているロックリンですが、それでもサンフランシスコなどのベイエリアでは平均価格が100万ドルを超えているので、こうした住宅価格の高い大都市から郊外のロックリンへ移住してくる家族が急増しているのにもうなずけます。
アメリカでのマイホーム購入の概念は、日本と少し違うかもしれません。一生に一度の買い物というのではなく、家の買い替えが日本より気軽に頻繁におこなわれます。子供が増えたので広い家に、リタイアして子供が巣立ったので小さめの家に住み替えたり、家族がアーミー(軍人)で3~5年ごとに転勤したりするという場合もあります。ロックリン一帯では、家を購入した後、次の家に住み替えるまでの平均居住年数は約7年といいます。最初に買った家に縛られるのではなく、ライフスタイルや家族構成に合わせて売買するという発想なのでしょう。また、経済の動きによっては、買った家の価値が高い時期に売れば得をするので、不動産売買を投資と考える人もいるようです。
新築より中古?間取りの読み方は?
アメリカでは、家のオーナーがメンテナンスや改築を繰り返しながら家の価値を保っていきます。築年数によって資産価値が左右されるわけではなく、家の古さよりむしろ立地条件やコミュニティ全体の質の方が影響するというのも日本とは違う点でしょう。ロックリンでは、景気が持ち直して以降、新築物件が続々と建てられていますが、基本的には新築より中古物件の売買のほうが圧倒的に多いといえます。
家の間取りを示すのに、1R、3LDKなどという表記はしません。ベッドルームとバスルームの数を使い3 Bed/2 Bath、3BD/2BAなどと示します。バスルームには通常、トイレ、洗面台、シャワールームやバスタブが含まれていますが、トイレと洗面台のみのハーフバスルームもあります。リビングやダイニングも備わっています。家族の人数にもよりますが、ロックリンの家は、3~5人家族に適した3BD/2BAの間取りが主流です。新築物件に関しては、4BD/3BA以上の間取りや高齢化に向けた2世帯住宅も増えています。
家の売買に向けてすること
アメリカへ来て、最初の段階でするべきことは住まいを見つけることでしょう。慣れない土地で、自分が気に入る家を探して購入するのは大きな決断です。ロックリンの家の価格帯や初めに知っておくべき基本事項を見てみましょう。
物件売買の際は、信頼できるリアルター(不動産仲介業者)を探す必要があります。通常は売主、買主がそれぞれのリアルターを通して交渉を進めます。ロックリンにはバイリンガルの日本人リアルターがいるので心強いでしょう。日本では、中古物件の売主、買主の両方が不動産エージェントに仲介手数料を支払いますが、アメリカでは買い手は一切払う必要がなく、全額が売主負担となります。売主が払う手数料の相場は、だいたい家の値段の6%前後で、それを売主側と買主側のエージェントとで分け合うのが一般的のようです。
固定金利のローンは15年か30年で、たいていの人は30年で組みます。定年後のローンが難しい日本と違い、アメリカでは年齢による制限がそれほど厳しくありません。一般的なローン(Conventional)のほか、政府の補助付き(FHA)、軍人向け(VA)など様々な種類のローンがあります。頭金(Down Payment)は、家の価格の15~20%あるとよいとされていますが、一定の条件のもと頭金3%ほどでもローンを組むことができます。ただ、その分、Mortgage Insuranceといった保険料が加算されるので、頭金は十分あるに越したことはありません。
なお、ローンを組む際には社会保障番号(SSN)の取得が必要となります。現金で購入する場合は不要です。アメリカでの就労履歴やクレジット(信用)など、ローンを組む際に重要となるポイントもあるので、融資の専門家に相談しましょう。