フランスの大手新聞社ル・モンド(Le Monde)によると、2015年、フランスの25~49歳の女性の就業率は83.4%とかなり高い割合にのぼっています。実際、サラン・レ・バンでも専業主婦の母親をもつ生徒はクラスに数人で、学童保育やベビーシッターを利用しながら働いている母親が大半です。ここでは、フランスのワーキングマザーを支えるシステムにはどんなものがあるのか紹介します。
とてもポピュラーなベビーシッター
フランスでは、ベビーシッターを利用している家庭が実に多く、ワーキングマザーを支える力強い味方です。ベビーシッターを開業するには、Conseil départementalという機関から認定されなければなりません。そのため、ベビーシッターを自宅などで開業している人は、決められた講習を受け、預かり場所の安全基準なども満たしたプロのベビーシッターです。また、預かれる子供の数は6歳以下の子供4人までなどと、基準も設けられているので安心です。市役所のホームページにベビーシッターのリストがあるので、必要があればそれを利用してベビーシッターを探しましょう。2017年現在、サラン・レ・バンには19人の認定されたベビーシッターが登録されています。サラン・レ・バンには生後2カ月から4歳までの幼児を対象とした保育所もありますが、許容人数が18人までと少ないため入所待ちが続いている状態です。
街で行っているサービス
サラン・レ・バンでは、市内の幼稚園・小学校に通っている児童を対象に、朝夕子供を預かってくれる学童保育、1km離れた食堂への生徒の送り迎え、昼食の提供などの有料サービスを行っています。フランスの学校では、昼食は食堂または自宅で食べ、日本のように学校で給食を食べることはありません。そのため、共働きの家庭などでは食堂を利用している生徒も多くみられ、また自宅やベビーシッターの家で昼食を食べる生徒も半数近くいます。これらのサービス料金は一家の収入によって4段階にわかれており一律ではありません。学童では曜日ごとにいろいろなアクティビティを行っているため、クラブ活動のような感覚で自分の好きなアクティビティに参加し、ほかの日はベビーシッターの家で親を待つ生徒もいます。このように、共働きの家庭ではさまざまなシステムを組み合わせて利用することもあり、街で行っているサービスはワーキングマザーを助ける大きな役割を担っています。
国の制度も手厚い!産休・育児休暇
フランスでは、第2子までは産前6週間、産後10週間の合計16週間、第3子からは産前8週間、産後18週間の合計26週間の産休が認められ、給料の79%が国によって支払われます。育児休暇も最長で子供が3歳の誕生日を迎えるまで取得できるなど、日本よりも手厚いシステムとなっています。こうしたシステムを上手に利用して子育てを自分でする人もいますが、実際には、できるだけ早く職場に戻りたがる母親も少なくありません。フランスでは、0歳児などでも比較的簡単にベビーシッターを見つけて預けることができ、学校に入ってからもベビーシッターに送り迎えを頼んだり、学童保育を利用したりすることができます。結果として、1日のほとんどの時間を家族とではなく、ベビーシッターか学童などで過ごす子供が多いなど、ワーキングマザーのための整ったシステムの裏側を垣間見ることもあります。程よいライフワークバランスのために上手にさまざまな制度を利用して、仕事も家庭も充実させたいものです。